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Channel: 餌木作人の戯言(薩摩烏賊餌木『弾(だん)』の作者)
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数千年の眠りから次々と目を覚ます氷の中の生命体

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数千年の眠りから次々と目を覚ます氷の中の生命体が生物の進化をひも解く時



 シベリアの永久凍土やグリーンランドの氷河では今ある現象が起こっている。温暖化により分厚い氷は縮小を続け、その厚みも失われてきた。その為、氷の中で永遠の眠りについていたはずの太古のウイルスやバクテリア、植物、動物が数千年の時を経て蘇ろうとしているのだ。

 もはや手の届く場所にあるこれら生命体を、科学者たちは積極的に回収し研究しようとしている。クライオジェニック凍結(液体窒素または低温フリーザーなどを用いて細胞を瞬間凍結させること)が初めて世界の表舞台に名を現したのはSF作品の中だが、現代の科学技術によりそれは現実の物へと姿を変えているのだ。
 2012年、ある研究グループが3万2000年前の植物の種をシベリアのツンドラの一角で見つけそれを解凍することに成功した。また別の研究グループは2014年、ミネソタ州の池から700年前の卵を発見してそれを孵化させることに成功した。また、アーサー王の時代から南極に眠っていた藻をよみがえらせる事にも成功しているし、あるグループは800万年前に活動停止したバクテリアの再生に成功している。

 SFの世界であれば、こういったバクテリアが世界を滅ぼすものだが、今のところこれらのバクテリアが無害であるという。科学者たちがこれほどまでに眠っている生命体に興味を抱く理由は、彼らが「歴史を紐解く鍵」となるからだ。彼らの進化の過程を詳しく調べる事、様々なことがわかるという。

凍った生命体の蘇生を試みる科学者たち
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 進化論を学ぶ生物学者は皆「ディープタイム(深い時間)」に夢中だ。これは地球がまだ幼い頃の歴史の事で、学者たちは化石や石などに含まれる化学物質から太古の姿を予測するのだ。しかし、もし仮に目の前にその失われた肉体があったらどんなに素晴らしい事だろうか?

 現代の科学技術を持ってすればそういった事も可能なのだそうだ。ティラノサウルス級の生物を呼び戻す事は出来ないが、例えば永久凍土に眠っていたバクテリアを数百万年の眠りから呼び覚ます位の事であれば可能だという。

 2013年の「レザレクション・エコロジー・マニフェスト」誌でとある学者は「クライオジェニック凍結」はまるで進化論の為の、進化論的タイムマシンです」と語っている。こういった新しい技術は学者に過去を見せるだけでなく、目の前で実際にその進化を体験する事が出来るようになるのだ。

進化を再現することが可能となる
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 現代科学の力を持ってしても、ジュラシックパークにでてくるような恐竜では無理だが、バクテリア・細菌ならば話は別だ。

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