●加治木港のミズイカ
今回、釣行した加治木港は、鹿児島市の眼下に広がる、錦江湾(鹿児島湾)の湾奥、鹿児島県姶良市加治木町港町にある港で、鹿児島県中部の姶良郡方面への物資を取り扱っている。
港には5000トン級の貨物船が着岸する岸壁のほかに、漁船やプレジャーボートなどの船溜があり、地元の錦海漁業協同組合の事務所がある。現在、定期の旅客航路は就航していない。
加治木港には夜明け前の早朝6時に到着し、夜が明けるまで、途中のコンビニで買ったパンとコーヒーで、軽い朝食を摂った。
東の空が白々と明るくなってきた午前6時、タックルを準備して、最初のポイント・網掛川の導流堤先端から、港の中へと餌木をキャストした。
このポイントは、網掛川の河口一帯や港の中も攻められるA級ポイントなので、人気があるが、平日の早朝だということで、幸いにアングラーは私以外にいなかった。ここで1時間くらい、港の中を攻めたがミズイカ(アオリイカ)のヒットはなかった。
次にスロープの角のポイントへと移動した。このスロープは、1972年(昭和47年)7月15日に就航した、加治木港と鹿児島市と指宿市などを結ぶ、ホーバークラフトが使用していたが、1977年(昭和52年)にこの航路は廃止となったが、現在でも加治木港にホーバークラフトが上陸するために使っていたスロープが残されている。
このポイントから、毎年、藻場ができる沖のポイントへとキャストを繰り返した。水温の上昇に呼応して、藻が生え始めていて、時々、餌木のカナ(針)に引っ掛かってきた。この藻場が生えそろう頃は、格好のスポーニングベット(産卵床)となり、大型のミズイカが接岸してくることが期待できる。
先行者に地元のエギンガーの方がいたので話を聞くと、
「大型のミズイカの回遊はまだないが、現在のアベレージは300~800㌘が、コンスタントにヒットしていますよ。私もさっき、500㌘を上げました」
と、コンビニ袋に入ったミズイカを見せてくれた。このミズイカを見て、私のエギングモードにスイッチが入り、先行者の方に邪魔にならないように、キャストを開始した。
ここの底質は砂地で、所々にストラクチャー(障害物)があり、その周辺が藻場となっている。また、砂地の部分のボトム(海底)を探ると、大型のコウイカ、モンゴウイカがヒットすることもある。
その藻場周辺を攻めた数投目、ラインが一瞬、『フッ』とふけたので、瞬時にラインスラックを取り、大きく電撃的に合わすと、待望のヒットとなった。ロッドを立てると、すんなりと寄って来たので、『大型のミズイカじゃない』と、瞬時に判断できた。海面まで浮いて来て、スミを吐かし、そのまま抜き上げると500㌘弱のミズイカだった。このイカを絞めて、キープし、再び、キャストを開始した。
その後、このポイントで、同サイズ、300㌘、最後に800㌘と連続ヒットとなった。
ヒット餌木は、私が作製しているオリジナル餌木、薩摩烏賊餌木『弾』の3.5寸(号)の桜舞、桜島で、このカラーが、『春イカキラー』と呼ばれることを、作者の私が再び、フィールドで実証した釣果となった。
その後に、日木山(ひきやま)川の導流堤へと移動した。ここでも港の中をメインに攻めたが、1時間くらいキャストして、バイトもないので、「これが、最後の1投」と思い、キャストして大きくシャクると、ロッドに重みが乗って、時々、ドラグが悲鳴を上げた。
「デカイ」
と、思わず叫んで、寄せて来たイカは、1㌔弱の良型だった。ギャフの準備をしていなかったので、3号のフロロラインのリーダーを持って、慎重に手繰り寄せて、ランディングした。
この最後の1尾で満足し、今回の釣行を終了した。これから加治木港では、藻が生え始め、春のスポーニング(産卵)に向けて、ミズイカの活性が上がり、大型のイカの接岸がある。例年、1㌔オーバーも交じるので、ギャフやタモは忘れないで準備して欲しい。
また、防波堤での釣りとなるが、ライフジャケット(救命胴衣)の着用は忘れないで欲しい。それと資源保護のために、必要以上のイカのキープはせず、特に抱卵しているメスイカはリリースして欲しいと思う。